「早稲田大学創立125周年記念シンポジウム:角田柳作—日米の架け橋となった“Sensei”—」開催報告
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アメリカにおける日本学の形成と角田柳作(1) 010203040506070809
和田敦彦 早稲田大学教育・総合科学学術院准教授

宗像和重(早稲田大学図書館副館長):続いて和田敦彦先生にお話をいただきます。和田先生は、早稲田大学准教授で日本近代文学書物論などをご専攻です。本年2月にアメリカにおける日本語図書の蓄積、あるいは日本関係図書館の形成の歴史を詳しく辿ったご著書『書物の日米関係』を刊行されました。その中でも角田柳作について詳しく触れておられますが、本日は「アメリカにおける日本学の形成と角田柳作」と題してご講演をいただきます。パソコンの用意がありますので、スクリーンの画像とともにお聞きいただければと思います。それでは和田先生、よろしくお願いします。

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和田敦彦早稲田大学教育・総合科学学術院准教授ご紹介いただきました和田と申します。最初にテーマについて1つお断りしておかなければいけません。「アメリカにおける日本学の形成と角田柳作」という非常に大きなテーマになっていますが、私はアメリカにおける日本学の歴史を全体的に研究しているわけではありません。私が研究しているのは、先ほどご紹介にもありましたように、アメリカにおける日本語図書の歴史です。つまり、いつごろ、なぜ、どのように日本の図書がアメリカに渡っていったのか。どういう形で所蔵されているのか。そういう歴史になりますので、今日のお話が海外における日本学の歴史全体を見渡すような話ではないということをお断りしておきたいと思います。しかし、海外の日本語図書の歴史というのは、単にどこにどういう日本の図書があるのかという単純なレベルの話ではないことも強調しておきたいと思います。

海外においてどのような形で日本語図書館ができて、また日本語の蔵書が作り上げられてきたのかということは、日本学の歴史だけではなくて、広く海外における日本に対する関心、あるいは日本に対するイメージの形成、また日本の情報がどのような形で海外に広がっていったのか、そういったことを歴史的に考えていく上で非常に重要なテーマになってくるということです。それは同時に、日本と日本を取り巻く諸外国との近代における関係を捉えていくためにも非常に重要な問題となってくるわけです。

こうした観点から、3年ほど前から調査プロジェクトを進めてきました。米国日本語図書蔵書史調査プロジェクト(The Japanese Book Collection Diachronic Research Project in the US)というプロジェクトを立てて調査してきました。この狙いは日米間の書物の流れを歴史的に追うこととして、日本についての基本的な情報がどのような形で生まれて広がって、また場合によっては対立なども引き起こしながら広がっていったという過程を捉えることを目的としています。また、そこにどのような政治的な、あるいは民族的な要因が関わっているのかも含めて調査しているわけです。


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