No.1 青木昆陽肖像並墓碑銘拓本 文庫8 A249
森鑛子画 墓碑銘享保20(1735) 紙本白描 1軸

「甘薯先生」といわれた蘭学の先駆者のひとり、青木昆陽(1698−1769)は幕府御書物奉行をつとめた。肖像は森立之の孫、鑛子が描いたもの。墓碑銘拓本と合装したのは大槻如電で、昆陽150年祭にちなんだものである。

No.2 新井白石シローテ訊問覚書 ロ 12-1116
新井白石自筆 宝永5(1708) 4丁

宝永5年、天主教布教のため潜入したイタリア人宣教師シローテ(シドッチ)を白石が訊問した折の自筆覚書。 自筆の『詩経図総目』草稿と合綴されている。

No.3 平賀源内肖像 文庫8 A256
中丸精十郎画 明治19(1886) 油彩 1額

源内の肖像画としては、高松藩家老木村黙老の描いた 『戯作者考補遺』にある煙管を手にしたものが有名であり、中丸もそれを参考にしたものと思われる。中丸精十郎は川上冬崖に洋画を学んだ。本図は大槻如電の依頼により制作したものといわれている。

No.4 建部清庵肖像 文庫8 A251
北郷元喬画 安永7(1778) 絹本彩色 重要文化財

建部清庵(1712−82)は奥州一関藩医で、大槻玄沢の師であった。玄沢は清庵の許しをえて杉田玄白に入門したが、その年に描かれたものである。大槻家にのこされたこの肖像は、玄白肖像と対幅に仕立てられている。

No.5 杉田玄白肖像 文庫8 A252
石川大浪画 文化9(1812) 絹本彩色 重要文化財 1軸

玄白八十歳の肖像。画家石川大浪によるもので、西洋画法が取り入れられている。『解体新書』の翻訳や『蘭学事始』で知られる杉田玄白(1733−1817)は若狭小浜藩酒井家侍医の家に生まれ、蘭学興隆の祖となった。

No.6 蘭東事始 文庫8 F18
杉田玄白撰 大槻玄沢序 林洞海写 1冊

現在『蘭学事始』の名で知られる杉田玄白晩年の著。「蘭すでに東せり」との意から『蘭東事始』と題された。 本書の現存写本は10部ほどが知られている。林洞海は豊前小倉生、幕府侍医、大阪医学校長などを勤めた。

No.7 和蘭訳文略艸稿 文庫8 F23
前野良沢撰 明和8(1771) 本田孝輔跋 写本 1冊

『解体新書』翻訳の中心となった前野良沢(1723−1803)が著した蘭語学入門書の写本。伝本はきわめて少ない。跋は尾張藩士本田孝輔による。

No.8 林子平肖像 文庫8 A254
大槻磐渓賛 紙本彩色 1軸

高山彦九郎、蒲生君平とならんで「寛政の三奇人」と いわれた林子平(1738−1793)の肖像。長崎・蝦夷地を周遊し、海防の必要を痛感して『海国兵談』を著し、松平定信の咎めにあって蟄居謹慎を命じられた。

No.9 和蘭船図説 文庫8 A242
林子平撰 天明2(1782)長崎 富島伝吉梓刻 1軸

林子平は3度目の長崎遊学の際、実見したオランダ船 の絵図を作り、解説を加えて一般人の啓蒙のため出版した。寛政2年には『海国兵談』下巻の刻費捻出のため、 蘭船図を再刻し銀3文にて頒布している。

No.10 大槻玄沢肖像 文庫8 A248
小田百谷画 絹本彩色 重要文化財 1軸

芝蘭堂の主、大槻玄沢(1757−1827)の肖像画。同軸に貼りこまれている玄沢の詩『早春感懐』は「芝蘭堂新元会図」上部にある『病中即事』と、ほぼ同文である。 画家小田百谷(1792−1862)は京都の人。