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注釈

源氏物語系図 一巻 伝烏丸光広写
江戸前期
文庫30 A0061

安土桃山時代から江戸初期にかけての著名な歌人、烏丸光広(1579〜1638)筆との伝来を持つ源氏物語の系図。一説には平安末期にまでその成立が遡るとされるいわゆる源氏物語古系図の系統の一本。

源氏系図 一帖
江戸中期写
文庫30 A0062

本写本には一般に知られている物語には登場しない「巣守三位(すもりのさんみ)」という女性の記事がある。巣守三位は、蛍兵部卿の孫で、琵琶の名手の美女であり、匂宮と薫の二人から求愛される人物とされている。

細流抄 二十冊 三条西実隆著
室町末期写
文庫30 A0328

三条西家の源氏研究の根幹をなす三条西実隆の注釈書で、『源氏物語』研究の必備の文献。本書は各冊に美麗な色替りの題簽を貼付した二十冊の揃本で、五冊ずつ四段引出しの桐箱に納める。伝来の少ない全巻一筆の室町期写本の善本。各巻頭に「読杜草堂」の朱方印があり、明治時代の官僚にして蒐書家として知られる寺田望南(1849〜1929)の旧蔵書とわかる。

弄花抄 六冊 三条西実隆編
室町末期写
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室町時代の古注釈で、牡丹花肖柏の『源氏聞書』に三条西実隆が補訂して成ったもの。本書は一花堂乗阿筆と伝える室町期の古写本。巻頭書名は源氏物語聞書、題簽書名は弄花、箱題には源氏物語註弄花とある。書入、はり込あり。一花堂乗阿は歌人、歌学者、時宗の僧。三条西実隆から古今伝授を受ける。

花鳥余情 十冊 一条兼良著
江戸初期写
文庫30 A0154

一条兼良が応仁の乱を避けて奈良に疎開していた時に著わした三十巻から成る『源氏物語』の注釈書で、兼良の源氏学の集大成ともいうべき大著。四辻善成の『河海抄』に学びつつもその不備を補い誤りを正そうとしたものである。本書には僧正慈海の署名がみられるが、本文と別筆であることなどから、書写者ではなく所有者を示すものと推定される。

一葉抄 槙柱 一巻 藤原正存著
細川幽斎写 室町末期
文庫30 A0120

『源氏物語』の注釈書で藤原正存著の『一葉抄』の一部。書写者の細川幽斎は、三条西実枝から古今伝授を受けた歌人、歌学者として知られた。『一葉抄』の伝本は十冊本が多いようで、本書ももとはそうしたものの中の一部と思われるが、後人が幽斎の墨跡を尊重し、巻子装に改めたものと考えられる。

源氏薫香考 一冊 藤原明恒著
関根只誠写
文庫30 A0141

薫物に関する諸説を収集しまとめた江戸期唯一の研究書。文化十五年(1818)二月成立。伝本は狩野文庫(東北大学図書館)に著者原本がある。本書は現存唯一の写本で関根只誠の自筆本。

源氏雨夜立聞 一冊 井上好春著
江戸後期写
文庫30 A0178

『源氏物語』帚木巻の「雨夜の品定め」の段のみの注釈書。光源氏たちが雨夜の品定めをしている折、立ち聞きした翁が生き残っていて、自分に語って聞かせてくれた話だという体裁をとる。文化五年(1808)成立。伝本は他に桃園文庫(東海大学図書館)のみの稀覯本。

雨夜滴 一冊 山口安良著
江戸末期写
文庫30 A0359

『源氏物語』帚木巻の「雨夜の品定め」の段の注釈。天保10年の自序を持つ本書は山口安良自筆稿本の可能性がある。

すみれ草 三冊 北村久備編
文化九年(1812)序
文庫30 A0072

上と中は『源氏物語』の系図、下は年立。北村久備は平田篤胤門下の国学者で、国学の先人、本居宣長が『玉の小櫛』で作成の思いがありながら作れなかった系図を宣長にかわって作り、源氏を中心とした年表である「年立」を加えたもの。

源語類聚鈔 三冊 源義亮撰 橘守部写
江戸中期写
文庫30 A0102

『源氏物語』の主要な語句をいろは順に分けて例文や注解を施した古語辞書。本書は橘守部自筆稿本で、小汀文庫、青谿書屋旧蔵本。伝本は他に広島大学蔵本があるのみの稀覯本。

紫史吟評 二冊 成島筑山著
享保八年(1723)写
文庫30 A0282

『源氏物語』の各巻を漢文で記し、続いてそれぞれの巻を七言律詩に詠じた漢詩を加えたもの。本書は近年新しく発見された著者の自筆稿本で極めて貴重。

紫文蜑之囀(しぶんあまのさえずり) 五冊 多賀半七著
享保八年(1723)刊
文庫30 A0212

『源氏物語』の平易な俗訳本で「桐壺」の巻から「空蝉」の巻までを含む。挿画19図入り(うち、見開き4図)。奥書によると、著者の多賀半七は甲州府中の人。また夕顔・若紫の刊行が予告されているが、出版されていない。