早稲田大学図書館所蔵貴重資料

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「平凡」原稿
二葉亭四迷筆/請求記号: ヘ14-4401
「平凡」原稿1 「平凡」原稿2

『平凡』原稿

二葉亭四迷撰、自筆。1907(明治40)年。6冊、24.7cm×16.7cm。
『平凡』は、『浮雲』『其面影』に続く、二葉亭四迷の第三の長編小説として、1907年10月から12月末まで『東京朝日新聞』に連載された。

古谷雪江(ふるやせっこう)という文学者くずれの小役人の半生の回顧録の形で執筆されているが、その世界には作者自身の生活感情や思想が色濃く反映され、二葉亭の自伝的な意味合いも持った内容となっており、また、特に自然主義小説を揶揄するような作者の文学への疑惑が述べられ、ニヒリズムのにじんだ作品である。

その点については彼自身、次のように述べている。「私は筆を執つても一向気乗りが為ぬ。どうもくだらなくて仕方がない。「平凡」なんて、あれは試験をやつて見たのだね。ところが題材の取り方が不充分だつたから、試験もとうとう達しなくて了つた。(中略)その意ではなかつたのが、どうしても諷刺になつて了つた」(「私は懐疑派だ」(『文章世界』1908年2月))。

本学所蔵の品は東京朝日新聞用箋他の原稿用紙(380〜400字詰)に毛筆(一部ペン)で書かれた384枚の自筆原稿で、内容は一部欠落があるが、第1回から第61回(原稿には62とある)の最終回まで、全編に及んでいる(欠落部分の一部は、「本間久雄文庫」<本学図書館蔵>に収められている)。本文を何回も推敲した後が残る、研究資料としても非常に価値の高い資料である。

本学図書館には他に、『平凡』成稿前の草稿の一部や、1909年4月、ロシアからの帰国途上、肺炎、肺結核による高熱と闘いながら死の直前まで自らの体温などを綴った手帳類をはじめとして、二葉亭にかかわる貴重な資料を所蔵している。 * このページは、早稲田大学学生部発行「早稲田ウィークリー」所収「早稲田の貴重書」に若干修正を加えたものです。
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First drafted Febrary 18, 1998
Last revised November 25, 2005