早稲田大学図書館所蔵貴重資料

明暗
横山大観・下村観山筆
明暗

明暗

横山大観・下村観山画。1927(昭和2)年、直径445cm。
1915(大正4)年、大正天皇即位大典記念事業の一環として、新図書館の建設が決定。当時、文相であった高田早苗(1860〜1938)は 「欧米何れの大学に於いても、図書館及び研究室が其中心となつて居る(中略)欧米の諸大学に於ける夫等の設備と我が早稲田大学の夫れとを比較して見れば月と鼈との相違があるので、 殆んど唖然たらざるを得ざるのである」(『早稲田学報』第249号)と図書館設備整備の必要性を述べている。かくして10年後の1925(大正14)年、東洋一を誇る図書館が誕生した。

ホール正面に壁画を飾るのは当初からの予定であったが、いざ建物ができると「ぜひ大家の名画を !」という希望が生れてきた。 そこで当時、総長に就任していた高田早苗が、親交のあった横山大観(1868〜1958)・下村観山(1873〜1930)に依頼。そしてできたのがこの名画『明暗』である。

この画題は大観が想を示し、観山が同意して決定。「混沌とした暗闇から知恵の日が昇る」絵を、「書物を読まなければ暗く、読めば明るくなる」とし、知識を得る素晴らしさを説くために名付けられた。 これについて図書館の元館長であった林癸未夫は、その手記の中で「大学図書館の意義に鑑みて、文化と野蛮、理知と蒙昧とを対称し、あわせて我が学園の隆々たる発展を象徴するにある」と書いている。

使われた紙は、福井県の製紙家・岩野平三郎に特注した世界最大の手漉き和紙。紙だけで12kgほどの重量があり、麻・雁皮・楮の配合の具合で非常に丈夫にできている。同時に10枚程度漉き、それらは現在「紙の博物館」「グーテンベルク博物館」などに保存されている。

主に雲の部分を大観が、日輪を観山が描いている。用墨は大観秘蔵の乾隆帝時代の中国墨、金泥は京都から取り寄せたものであるという。 1926(大正14)年12月筆始めを行い、1927(昭和2)年完成した。

1989(平成元)年表面の一部に損傷が発見され、1992(平成4)年から大掛かりな修復作業が行われた。破損部分の修復だけでなく表面の汚れも取り除き、今日再び、製作当時の輝きを取り戻している。

なお、『明暗』は作品管理の都合により、公式行事や展覧会などの機会にのみ公開している。

* このページは、早稲田大学学生部発行「早稲田ウィークリー」所収「早稲田の貴重書」に若干修正を加えたものです。
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First drafted Febrary 18, 1998
Last revised November 25, 2005