後編 (前編はこちらです)

27.芙蓉小禽図  チ3 3816 26
渡邊崋山画 紙本彩色 1軸 
江戸後期の蘭学者、画家である渡辺崋山(1793−1841)は、三河国田原藩士の子として生まれ、長じて藩政に参与、また蘭学を修めて世界の情勢を知り、対外的危機感を抱く。『慎機論』により蛮社の獄に遭い自殺。西洋画法を採り入れた先駆者でもあった。

28.蝦蟇図(がまず)  文庫8 B141 7
川上冬崖画 絹本彩色 1枚
 川上冬崖(1828-81)は安政年間に蕃書調所に入り、絵図調出役となり西洋画法を研究した。明治維新後も新政府に出仕し、大学や陸軍などで西洋画教育に携わるかたわら、下谷御徒町の自宅に画塾を設け門人を育てた。

29.牡羊図  文庫8 B141 6
戸田東朔画 絹本墨画 1枚
戸田東朔(東三郎)は京都の時計師で、彼の作った天文観測用の振子時計は伊能忠敬も使用したと伝えられる。

30.蝋梅図  チ4 6293
谷文晁画 亀田鵬斎賛 絹本淡彩 1軸 
谷文晁(1763−1840)は江戸中期の画壇の中心として活躍、渡辺崋山ら多くの門人を指導した。その画に賛を付している亀田鵬斎(1752−1826)は同時代の儒者で、荻生徂徠らを批判、既存の諸学とは一線を画していた。

31.蘭図   文庫8 H1
佐竹曙山画 絹本彩色 1軸
 秋田藩主佐竹曙山(義敦,1748-1785)は、家臣で『解体新書』の挿絵を描いた人物として知られる小田野直武(1749-1780)とともに平賀源内から洋風画を学び、「秋田蘭画」と呼ばれる西洋風の画風を藩内に流行させたが、源内の没落とともに短期間で終わった。

32.草花写生画巻  チ4 6314
狩野融川(寛信)原画 英水心正摸 安政5年(1858)10月 紙本彩色  1巻 
 狩野融川(寛信,1778-1815)は幕府奥絵師として活躍したが、自らの作品をめぐる幕閣との確執から切腹した。本画巻は融川の写生図を写したもの。

33.真写群鳥  チ4 4990
岸連山画 文政12年(1829)2月 紙本彩色 1冊 
 岸連山(昌徳,1804-1859)は岸派の祖、岸駒(1756-1838)のもとで学び、のちその養子となった。師匠ゆずりの画風に加え、写生に努めたという。本画帖は連山が描いた鳥類の写生図帖。

34.鳥獣写生図   チ4 4286
紙本淡彩 1巻
 江戸時代の絵師がのこした写生図。さまざまな構図の鷹が淡い色彩で描かれている。

35.鴫羽掻(しぎのはねがき) 摸本等貼込帖   チ4 5799
紙本淡彩 月岡家旧蔵 4冊
 明治の錦絵作者として有名な月岡芳年家蔵の貼込帖。人物、風景、風俗、古画などの主題別にいろいろな摸本が収集されている。

36.七難之図巻  チ4 4516
円山応挙原画  駒井g摸 紙本彩色 1巻
 七難とは、仏教でいう七種の災禍のことである。それをあらわした絵巻で円山応挙の原画と伝えられる。地震、台風などの天災とともに山犬(狼)や大蛇に襲われる人々を描いている。

37.鐘岱愛鷹之記  ヲ10 1271
藤邦基賛 安政4年(1857)3月 紙本彩色 1舗
 出雲松江藩主松平斉貴(なりたけ、鐘岱,1815-1863)が愛玩していた鷹の図。斉貴は多芸多趣味であったが、なかでも鷹を用いて鳥獣を捕える鷹狩を好んだことで知られる。上部には鷹の名前(「加屋堀」)や、これまでの狩りの成果などが詳細に記されている。

38.絵本鷹かがみ  ニ15 2543
河鍋洞郁(暁斎)画 金花堂中村佐助版 木版色刷 5冊
 河鍋暁斎(1828-1889)は幕末から明治にかけての代表的な浮世絵師で、その独創的な筆致は現在でも愛好者が多い。本書は暁斎が鷹をテーマにまとめた画集。

39.桃花図  文庫17 W221
前田青邨画 紙本彩色 1軸
 前田青邨(1885-1977)は近現代を代表する日本画壇の重鎮。本作品は歌人の土岐善麿(1885-1980)が所蔵していたもの。

39’. 巌鷹の柵  文庫10 8826 7
棟方志功作 昭和33年(1958)10月 木版彩色 1枚
 棟方志功(1903-1975)は「板の声を聞く」といって、みずからの作品を「版画」ではなく「板画」と呼んだ。本作品は棟方の作品が国際的に高く評価されるようになった時期のもの。

40.伊勢物語八橋図  チ3 3701
長谷川雪旦画 水野忠邦賛 絹本彩色 1軸
 伊勢物語の世界は、さまざまな形で後世に継承されてゆくが、中でも業平が東下りの途中に立ち至った三河国(愛知県)の八橋は、歌に詠みこまれたカキツバタの名所として知られるようになった。本図は、『江戸名所図会』で知られる画家、長谷川雪旦(1778-1843)が描き、天保の改革で有名な水野忠邦(1794-1851)が賛を付したもの。

41.狐草紙絵巻  ヘ12 1586
伝土佐光信原画 藤原守純摸 嘉永2年(1849)閏4月 紙本淡彩 1巻 
 若い女の姿をした狐に化かされる僧侶の失敗譚を描いた御伽草子。様子を見に訪れた他の僧侶に驚き慌てて、正体をあらわす狐たちの様子が滑稽に描かれている。

42.絵入 虫十五番歌合  ヘ12 3472
木下長嘯子作 摸本 紙本淡彩 1巻
 ヒキガエル(薮本蟇)を判者に、コオロギ、蜂、カマキリ、蓑虫たちが歌合せをくりひろげている。豊臣秀吉の甥にあたる武将にして歌人の木下長嘯子(勝俊,1569-1649)の作と伝えられる。

43.芭蕉涅槃図拓本  モ4 392
鍬形K斎画 窪世祥刻 木母寺(逸亡) 文化14年(1817) 紙本墨拓 1軸
 俳聖松尾芭蕉の臨終の場面を釈迦の涅槃図に擬えて描いたもの。芭蕉を囲む人々には其(角)、嵐(雪)、杉(風)など、弟子達の名前の一字が刻まれ、鳥獣虫40種余りが描かれている。木母寺(東京都墨田区)境内にあった歌舞伎役者沢村曙山(二世田之助,1788-1817)の墓碑背面に刻まれていたが、昭和20年(1945)の空襲で失われた。


44.十二枝句合(じゅうにしくあわせ) ヘ5 6098
野々口立圃(ののぐちりゅうほ)撰並画 寛文6年(1666) 紙本淡彩 1巻
 貞門の俳人、野々口立圃(1595-1669)の自筆句合画巻。十二支の動物に装束を着せて一対ずつ左右に向かわせ、立圃自作の発句を合わせたもの。動物の組み合わせは、辰と戌、巳と亥のように、7番目同士を合わせる「七ツ目」というめでたい組み方で配列されている。

45.うみのさち  ヘ5 6397
石寿観秀国編 勝間龍水画 伊勢屋治兵右衛門、山崎金兵衛版 
宝暦12年(1762)8月 木版色刷 1冊
 勝間龍水の描く魚介図に江戸座の俳人秀国が諸家の発句を添えた代表的な絵俳書。鮮やかな多色刷の版本である。

46.狂歌絵巻  ヘ9 4510
半井卜養作  写本 紙本彩色 2巻
 半井卜養(なからいぼくよう、1607-1678)は幕府に医官として仕えながら、狂歌作者として名を馳せた。これは卜養の狂歌とそれに合わせた絵画をまとめたもの。

47.生捕ました三度の大地震   文庫10 8871
[安政2年(1855)] 木版色刷 1枚
 「地震は地下の大ナマズが引き起こしている」という俗信のもとに描かれたいわゆる「鯰絵」。信州、江戸、小田原で大地震を起こしたナマズを、地震を抑える「要石」が埋まっているとされる鹿島神宮の神が生捕りにした様子を滑稽に描いている。

48.恵比寿天申訳之記   文庫10 8871
[安政2年(1855)] 木版色刷 1枚
 要石をはずしてナマズが暴れ地震がおきたのは、神無月で鹿島の神の留守中、番をしていた恵比寿天が酔っぱらって寝てしまったから、という話。

49.舶来大象之譜  文庫10 8008 2
仮名垣魯文記 一龍斎芳豊画 江戸 藤岡屋慶次郎 文久3年(1863)
木版色刷 1枚
 文久3年(1863)両国で行なわれた見世物興行の引札(広告)。幕末から明治にかけての戯作者、仮名垣魯文(1829-1894)が宣伝文を書いている。

50.豹見世物引札  文庫10 8008 4
一登斎芳綱画 江戸 志満鉄 万延元年(1860) 木版色刷 1枚
 万延元年(1860)の見世物の引札。場所はやはり両国である。上の囲みをよく見ると「生れてより八ヶ月になりし虎を生捕」とある。

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