漂流 -- 異界を見た人たち -- 早稲田大学図書館企画展 [目次に戻る]
 
 
異界からの来訪者たち
 

 かたくなに鎖国政策を守りつづけていた江戸時代の日本。それでもさまざまな形で外国の人々がやって来ていた。彼らは時に密かに、時には漂流民として、そして幕末近く、閉ざされた日本の扉を押し開くために、突如日本人の前に現れたのである。ほとんど異国の人々との接触のなかった日本人にとってそれは大きな衝撃であっただろう。その驚きがやがて洋学を育て、世界へと目を向けて、開国へとつながってゆくのである。


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No.35 新井白石シローテ訊問覚書
請求記号:ロ12 1116
宝永5年(1708)自筆 1冊
 宝永5年(1708)、天主教布教のため潜入したイタリア人宣教師シローテ(シドッチ)を白石が訊問した折の自筆覚書。シドッチは小石川の切支丹屋敷に幽閉され6年後に没した。のちに白石はこれをもとに『西洋紀聞』『采覧異言』を著した。


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No.36 訂正増訳 采覧異言
請求記号:ル2 959
山村子明増訳 杉田士業校正 大槻子煥参閲 文化元年(1804)序 13冊
 白石が、シドッチへの尋問で得た知識に既存の地理書の内容を加味して著した、わが国最初の系統的な世界地理書。正徳3年(1713)頃に成ったが、長い間刊行されなかった。本書は白石の著作を山村才助(子明)が増補したもの。


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No.37 難船紀聞
請求記号:ル2 2089
大田南畝撰 1冊
 安永9年(1780)、房州千倉海岸に漂着した清国貿易船に関する記録。前年11月長崎へ向けて出帆したものの、暴風雨のために漂流した経緯が記されている。


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No.38 文化元年魯西亜国使節図
請求記号:リ5 9314
紙本彩色 1巻
 文化元年(1804)、長崎に来航したレザノフらロシア使節の人々を描いたもの。このとき若宮丸の漂流民津太夫ら(13,14参照)を伴ってきた。


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No.39 嘉永六年魯西亜長崎入津行列図
請求記号:リ5 9320
紙本彩色 1巻
 嘉永6年(1853)、海軍提督プチャーチンを代表とする使節が長崎に来航、修好条約締結を求めたが、幕府はこれを拒否した。本図巻には、長崎入港時の使節の様子と、彼らがもたらした書翰の翻訳、そして日本からの返書の写しが収められている。


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No.40 嘉永六年魯西亜使節応接図
請求記号:リ5 9322
紙本彩色 1巻
 これも<39>と同じく嘉永六年に来航した使節を描いたもの。長崎入港から使節の陣容、さらには長崎奉行所での応対の様子が克明に描かれている。

No.41 モジャイスキー幕末日本図録
請求記号:LD 2916
写真 2枚
 プチャーチンとともにディアナ号で箱館、下田を訪れた海軍士官モジャイスキーは、各地の風景や人々の生活、さらには下田で津波に翻弄される艦隊の様子を写真に収めたといわれている。帰国後、その写真をもとに描いたのがこれらの水彩画である。原本は旧レニングラード海軍博物館(ロシア中央海軍博物館)で所蔵。


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No.42 豆州君沢郡戸田ニ於テ魯国軍艦ヂヤナ号水兵『スクーナー』形船製造竣工ノ図
請求記号:リ5 9428
魯西亜船来航図のうち 紙本彩色 佐山芳太郎蔵本の写 安政2年(1855)5月 1巻
 嘉永7年(=安政元、1854)、再度長崎に来航したプチャーチン一行は同年3月、日本がアメリカとの間に和親条約を締結していたこともあり、強く条約締結を迫った。その後長崎から開港したばかりの下田に移動、碇泊していた際に大地震が発生(安政の大地震)、それによる大津波でプチャーチンの乗船ディアナ号が大破してしまう。これはその後、ロシアの船員と日本の船大工が協力して、代わりの船を建造した様子を描いたもの。


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No.43 下田湊御固之図
請求記号:文庫8 C427
紙本彩色 嘉永7年(1854)5月 1舗
 嘉永7年(1854)開港したばかりの下田にプチャーチンが向かった。それに先だって下田湊警護のために、周辺諸藩がその分担を決めた際の図面。小田原、沼津、掛川の各藩の担当地域がそれぞれ色分けして示されている。


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No.44 金海奇観
請求記号:文庫8 A230
大槻磐渓撰 鍬形赤子等画 嘉永7年(1854) 2巻
 嘉永7年(1854)、米使ペリー再度の来航に際し、大槻磐渓が藩命により浦賀に赴いた際、本牧沖に碇泊するアメリカ船や横浜の応接所、ペリー、アダムスほか使節の肖像などを描かせたもの。


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No.45 和蘭船図説
請求記号:文庫8 A242
林子平撰 天明2年(1782)長崎版 1軸
 林子平は3度目の長崎遊学の際に実見したオランダ船の絵図を作り、解説を加えて一般人の啓蒙のため本図を出版した。寛政2年には『海国兵談』下巻の刻費捻出のため、蘭船図を仙台で再刻し銀3文にて頒布している。


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