No.36(1992.7.10) p.15
館蔵特殊コレクション摘報15
伊地知鐵男文庫
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- 分 類 文庫20
- 収蔵数 連歌関係を中心とする写本・版本類、幅物、複製など全1122点
- 目 録
印刷目録:伊地知鐡男文庫目録(早稲田大学図書館文庫目録 第15輯 平成4年3月刊)
- 収蔵(設置)年とその経緯
伊地知鐡男先生が早稲田大学を定年退職されて以来、図書館ではその蔵書を譲りうけることができないか、とのことを先生にお願いしてきたが、故中村俊定先生の俳諧資料が収蔵されたことなども一つのきっかけとなり、昭和63年10月に先生のご決断を得たものである。
- 収書の特徴
先生のご専門である連歌関係の資料が文庫の特徴であるが、資料に対する見識の高さを反映してその他の資料にも貴重なものが多い。
室町中期の写本である「下草注」。猪苗代兼載の句集「園塵」第四は稀本。「宗牧連聚」は他に存在が確認されていない本である。伝心敬写とされる「ささめごと」。智仁親王自筆の「連歌去嫌返答状」。そして、連歌以外では南北朝期の写本と推定される「自讃歌」や、同じころの写本で「源氏物語」薄雲の奥入りなどがある。
オリジナル資料としての書簡には以下のようなものがある。宛て先未詳の飛鳥井雅親のもの、宗祇が含空院にあてたもの、宗祇の北野社の連歌会所宗匠就任を内容とする松田長秀のもの、肖柏の土岐政房宛、里村紹巴の木食応其宛、無言抄の監修についての一通、三条西実枝宛一通、斎藤徳元の生島玄蕃(八条宮家司)宛、林道春(羅山)の生島宮内(八条宮家司)宛、中院通村の中務宛一通、また幽斎、海北友松、里村昌琢などの書状8通を貼交ぜて屏風仕立にしたものがある。この内、友松の書状は殊に稀少価値がある。
この他、注目されるのは伊地知鐡男先生ご自身の手になる写本類である。これらは先生がご自分の連歌研究のために各地の図書館・文庫を訪れて資料採集した成果である。若き日の先生の研究に勤しむ姿を目の当たりにする思いがする。
資料のなかには複製・影印本もかなり含まれる。このうち、宮内庁書陵部の刊行物は署名こそないもののその解題は殆どが先生の労作になるものである。
- 収書者
伊地知鐡男:日本中世文学・連歌研究者。特に宗祇を専門とする。明治41年、鹿児島市生。昭和7年、早稲田大学文学部国文学科卒、宮内省図書寮に就職。この間、『図書寮典籍解題(文学篇)』『桂宮本叢書』などを刊行。昭和41年定年により書陵部を退官、早大教授となり書誌学、文献学、中世文学などを講義。昭和53年定年により退職。この間、多くの大学にて、非常勤講師を勤める。編著書に昭和18年の『宗祇』をはじめ、岩波文庫『連歌論集』、最近では早稲田大学蔵資料影印叢書『宗祇連歌集』など。論文は枚挙に遑もない程であるが、書陵部の調査官として同部所蔵の貴重資料を世に紹介し、日本文学のみならず関連学界に稗益した貢献度は計り知れないものがある。(先生の履歴・業績については文庫目録に詳細を掲載してある)
(文責:井口牧二)