ふみくら:早稲田大学図書館報No.31(1991.9.20) p.12

館蔵特殊コレクション摘報12

柳田泉文庫



印
  1. 分 類 文庫11

  2. 収蔵数 図書5469部・9582冊 その他自筆稿本、抜書、抜刷、新聞切抜、雑誌等1016点

  3. 目録等
    印刷目録:柳田泉文庫目録(早稲田大学図書館文庫目録 第12輯 昭和63年3月刊)

  4. 収蔵と整理の経緯
    近代文学研究の、とりわけ明治文学研究の泰斗として、その実証的な学風で知られた柳田泉先生が他界されたのは、昭和44年6月7日、76歳であった。先生のご遺志に従って蔵書は図書館に寄贈されることとなり、昭和48年9月、和漢洋の三学にわたるその収書が館蔵資料に加えられた。
     整理にあたっては、柳田文庫の特色に基づき、以下のような主題表によって分類した。(A)明治期刊行図書(合写本)(B)大正・昭和期刊行図書(含写本)(C)洋書(D)漢籍(E)白筆稿本類(F)書翰類(G)抜書類 (H) 新聞雑誌切抜類(I)抜刷(J)雑誌・新聞
     また一冊一冊の目録をとる際には柳田先生の識語、書き入れのあるものに注意し、図書はもちろん、新聞雑誌の切抜の類まで全て、目録上にその旨注記されている。旧蔵者印のある図書の中で必要と思われるものについては旧蔵者名を明らかにした(三宅雪嶺旧蔵など)。
     明治期の図書については出版されて百年以上経過したものがほとんどで、破損の甚だしいものも多々あるが、原装を尊重して、製本はせずに帙に入れ、明治の匂いを少しでも残すように心掛けている。

  5. 収書の特徴
    柳田先牛の蔵書についてまず語らねばならない事は、その収集の幅の広さ、資料の多様さといった点である。和書について言えば、その年代も、幕末から昭和40年代まで、明治の変革期をはさんで、「新旧」の資料が途切れることなく蒐集されている。新聞、雑誌があり、柳田先生自筆の稿本、門下生の手も混じる抜書類、さらに切抜類等が、それぞれ相当のタィトル数にのぼっている。今まで館蔵に帰した多くの文庫には見られない多様さである。
     一方、資料の内容については、明治期のものに見るべきものが多く、田山花袋・幸田露伴をはじめとする小説類、三宅雪嶺・徳富蘇峰らを中心とする社会評論・政冶評論、『新体詩抄』以下の新体詩類そして、個人のコレクションとしてはおそらく特筆に値する量の、400部に及ぶ草双紙がある。
     今日ではもはや入手しがたい貴重な資料も多く、戦災で蔵書のほとんどを失いながらも柳田先生が戦後の短時日の間にこれほど充実した資料を蒐集されたのには、敬服のほかはない。

  6. 収書者
    柳田泉:近代文学研究家、英文学者、翻訳家。明治27年4月27日、青森に生まれる。大正3年早大文学科高等予科、4年本科(英文科)に進む。大学在学中に金子筑水、長谷川天渓に接したことが契機となり、明治文学研究を志す。主著書に『明治初期の翻訳文学』(昭和10年)、『政冶小説研究』(昭和10〜14年)などがあり、近代文学研究史上先駆的な役割をはたした。
     昭和10年以来、30年にわたって本校の教壇に立ち、後進の指導にあたった。
    (文責:中村義人)


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