ふみくら:早稲田大学図書館報No.28(1991.2.1) p.15

館蔵特殊コレクション摘報11(1)

洋 学 文 庫



  1. 分 類 文庫8

  2. 収蔵数 3,803点(和漢書3,349点、洋書454点 平成元年3月現在)

  3. 目録等
    印刷目録:洋学文庫目録(稿)(昭和46年6月刊)

  4. 収蔵(設置)年とその経緯
    故岡村千曳先生は昭和22年2月に図書館長になられ、6年間在任された。岡村先生は、この間、日本の近代化の礎となった洋学の資料収集の必要性を強く認識され、当時の洞富雄和漢書係主任等と協力して、戦後の古書市場に少しずつ出回りはじめた洋学資料の収集に努められた。中には大槻玄沢家の旧蔵書の一部も含まれていた。
     その後、大野実雄館長時代に、岡村先生ご自身で集めておられた資料と、同学の勝俣銓吉郎元教授の収集資料の大部分が、散佚することなく本館の所蔵に帰した。
     昭和43年10月、上記大槻家旧蔵書、岡村蔵書、勝俣蔵書を基礎にして、岡落葉旧蔵書(岡泰安・研介関係)の他、秋山義方、山岸光宣、池田良輔各氏の旧蔵害を加え、一括して「洋学文庫」と名づけて整理を開始した。
     同46年3月、整理を一応完了し、洋学文庫(2,275部、3,349冊)が設置された。同年6月、洋学文庫目録(稿)を刊行。
     その後も、収蔵した洋学資料を随時本文庫に追加しながら、今日に至っている。

  5. 収書の特徴
    洋学文庫は上述のごとく、コレクションの集積である。大槻家、宇田川家の諸家の自筆稿本類等、第一級の資料が多数含まれており、本館の蔵書内容の特徴を示す一つとなっている。特色あるものを掲げると、大槻家旧蔵書では、「芝蘭堂新元会図」(市川岳山画 諸家賛)、「杉田玄白肖像」(石川大浪画)の他、前野良沢、大槻玄沢、青木昆陽、海上随鴎、林子平等の肖像画。図書では、『重訂解体新書』(大槻玄沢重訂・筆)、『厚生新編』(玄沢筆)、『江戸ハルマ和解』稿本(稲村三伯編)等がある。
     岡村蔵書には、『西説内科撰要』(宇田川玄随自筆)、『舎密開宗』(宇田川榕庵自筆)の他、「ヒポクラテス像」(桂川甫賢画並賛)、『リーディンガー銅版画集』、司馬江漢の画等。
     勝俣蔵書では、『蘭仏辞典』(ハルマ撰)、『江戸ハルマ和解』刊本、『英和対訳袖珍辞書』の諸版、亜欧堂田善の銅版画等。
     岡家蔵書には、「シーボルト医学証明書」、「高野長英蘭文書簡」が含まれており、上記以外の収蔵書の中には、『ドドネウス草木譜(石井当光訳)がある。

  6. 収書者(岡村千曳・勝俣銓吉郎氏略歴)
     岡村千曳:英語教育者。明治15年(1882)12月l日、長野市に生る。同39年本学文学部英文学科卒業。大正9年第一高等学院教授。昭和5年から教務幹事として大学経営に尽力。同20年4月、戦時中の教員の人員整理を行った責を負って本学を辞職。戦後まもなく高等学院長として復職。昭和24年から文学部教授となる。同22年2月から28年3月の定年退職時まで図書館長。在任中の功績や人柄については、『図書館紀要』6号(昭和39)、30号(平成1)に詳しい。著書に『紅毛文化史話』がある。昭和39年5月5日逝去、享年81歳。
     勝俣銓吉郎:英語学者。明治5年(1872)ll月18日、神奈川県足柄下郡に生る。横浜で英語を学び、同30年ジャパン・タイムズ社創立と同時に入社して、翌年の『英語青年』創刊に参加。明治39年早稲田大学講師、ついで教授。先生の40年にわたる洋学資料収集の経緯は、「日本英学史話」(『倫理講演集』第469輯 昭16.11)等で知られる。昭和18年定年退職。同34年9月22日逝去、享年86歳。

    参考資料:柴田光彦「早大の洋学文庫」(『日本古書通信』39巻6号 昭49.6)
    (文責:久保尾俊郎)


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