No.27(1990.12.15)p 16


明治に触れて





意義のある仕事に少しでも参加できて

吉  田  千  草       



    明治期マイクロ化事業室でのアルバイトを始めたのは約2年前のことです。このとても意義のある仕事にめぐり逢えたことは、私にとってたいへん幸運なことであったと思います。

    アルバイトの主な仕事として、マイクロ化する本のほこりを1ページずつ払うという仕事があります。この仕事をしてみて、とにかく、出てくるほこりの多さと本の劣化のひどさに驚きました。こういう本を目前にしていると、一刻も早く保存の手立てを考えなければ、という思いにかられます。そういう中で、明治期資料マイクロ化事業の「文化遺産を保存して後世に伝える」という意義の大きさを日々改めて実感しております。このような意義のある仕事に少しでも参加することができ、自分としてもたいへん嬉しく思っております。

    主な仕事の2つめとして、中性紙で本の保存箱を作る仕事をやっています。1冊1冊本のサイズが違いますので、どうしても手作りで作ることとなります。それでも、この箱が少しでも資料の劣化を防ぐことになると思うと、ひとつひとつの箱を作るにも心がこもります。私は先日、株式会社キャンパスで、この保存箱作りを専門にアルバイトさせていただくという機会がありました。日本中に数えきれないほどの図書資料が存在することを思うと、このような保存箱作り専門の事業がどんどんクローズアップされて、もっともっと盛んになってもいいのではないかと感じます。

    蛇足ですが、私自身、このように図書館でアルバイトしたことがきっかけとなり、来年の4月から明治大学の図書館員として就職することとなりました。このアルバイトを通して学んだ様々な大切なことを、図書館員として活かすことができたら、と思っております。



明治に触れて


諏  佐  ア  ヤ     


    私が友達の紹介で明治期資料マイクロ化事業室でアルバイトを始めた時は、天理図書館の明治期刊行資料の目録カードを早稲田大学のものと照合する作業をしていました。後には、慶應義塾大学やアメリカのバークレー校、国立国会図書館などの所蔵する明治期刊行資料の目録なども調べました。この目録カードの照合作業によって、明治時代に出版された本の題名や種類、当時早稲田大学がどのような資料を集めていたのかなどを窺い知ることができました。

   目録の整備だけでなく、本の掃除や保存箱の作成などもしました。本を一頁一頁刷毛で掃除しながら、そのあまりの古さに驚きました。紙がぱりぱりに枯れ、脆くなっている本や、虫喰いの痕が残っている本、埃をたくさん吸っている本などがありました。それでも、挿絵や表紙絵の色はまだ鮮やかでした。明治に出版された黒岩涙香の本の実物をこの手にした時にはとても感動しました。

    酸性紙問題について聞いてはいましたが、こうした作業をすることによって思わぬ形で明治という時代に触れ、古くなり、傷んだ本を目の当たりにして初めて、資料保存の大切さを実感しました。  





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