No.25(1990.10.15)p13


成長の跡?

葛I伊国屋書店情報制作部
情報制作部和書データベース課係長
坂川和彦


JAPAN/NARCのある1969年〜1984年受入図書についての入力が、大形本等の一部を除いて終了した。入力件数は8月1日現在で15万件をこえており、その内学習図書を含む約13万件のデータがWINEにロードされた。JAPAN/MARC主体とはいえ、われわれの手を経たデータがいよいよ利用に供されるわけで、不安なところがなきにしもあらずであるが、楽しみである。

そして、ホッとする間もなく戦後〜1968年受入図書の入力にとりかかっている。この期間の図書については利用できる書誌ユーティリティがなく、ほとんどオリジナル入力となっている。JAPAN/MARCの方も現在作成中であり、いわば国立国会図書館と競争状態にあるといえる。国会よりもよいデータをより早く提供すべく、いよいよ本領(があればの話であるが)発揮のときである。

ところが、古い本になるとなかなか一筋縄ではいかない。たとえば、著者名の読みなど何を調べてもわからないことがある。『国立国会図書館著者名典拠録』からはじめて手元にあるレファレンスを片っぱしから調べていくわけだが、結局わからず未確認の形(゛*"をつけている)で入力せざるをえないときは、時間をかけただけにむなしいものがある。出版者も電話等で確認するようにしているが、現存していないものも少なくなく、出版者をアクセス・ポイントにしていないJAPN/MARCをうらめしく(うらやましく)思ったりもする。

入力基準にあわない図書も多くなった。例外的処理が避けられないが、入力者は約25名いるので対応が大変である。注意していないとそれまでに作成した書誌と矛盾が生じたりする(前にいったことと違うと攻められることになる)。逆に例外と思っていたものでも、度重なると基準性をおびてくる(そんなことはきいていなかったと責められる)。国会図書館の基準を遡及入力用にかみくだいたマニュアルを作成しているが、入力事例に合わせた改訂(既に一度行った)と、例外的処理の記録と管理が今後の課題である。

分類・件名はあいかわらずというか、ヒットしなくなった現在最大の悩みの種であり、早大専従者による修正のほとんどを占めている。しかし、ヒット分ではすべての分野を入力しているので、同じ誤りを繰り返さないよう過去のまちがいの事例をパソコンに入力し、分析を行っている。そして早大分類別に集計し、その分類の入力前に資料化して配布するようにしている。それでも悩むし(特に各分類の゛1")まちがいが多い。

さて、1年前筆者はこの『ふみくら』に自分たちの状態を、はいはいを始めたばかりとし、これから成長してみせると書いた。はたして成長したといえるだろうか?自分としては、全オリジナル入力にとまどっている現在の状況は、初めて集団生活に直面した幼稚園新入園生くらいには成長したといえると思っているのだが...。



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