No.25(1990.10.15)p 12


書誌データ作成入力を経験して
―ヨミ調査と旧字・新字について―

葛I伊国屋書店情報制作部
和書データベース課主任調査役
村田良信



昨年2月入力開始、この7月で現物をてに館蔵本15万冊の構築を終えた。現場の一員として早大専従者のご指導に深謝したい。
1.ヨミの調査

一口にヨミと言ってもその範囲と深さははかりしれない。著者名で言えばその本人の姓名の正確さを必要とするからである。何も著者名に限らない。専門分野の事典でもヨミのあるものは少ない。ヨミのある資料が最大の味方である。

@著者名標目:『NDL著者名典拠録』(15万人収録)を入力の典拠にしている。調査対象中この典拠録で解決するものが一番多く便利で活用度は極めて高い。一方、これからはみ出る姓名も多数で多くの資料や電話等の手段で調査しており1冊に1時間以上もかかることたびたび。

例:金生喜造@カノオ、キゾウ金太仁作@カノウ、ジンサク 外国人名は原綴形を調べて入力する。難しい文字はIBM漢字コード帳で入力。
A書名・巻次:固有名詞や地名があって調査対象は広い。「諸橋大漢和」『広辞苑』をまず調べ、WINEの漢字検索の機能も役立っている。標目は書名、副書名、巻書名、叢書名等で内容には遺蹟名、神社寺院名、地名などヨミの難問は多い。地元が一番よく知っているので長距離電話もしている。資料では『全国市町村要覧』(第一法規出版)を地名の典拠にしている。巻次の入力基準も細目に亘り、甲乙丙は123となる。

例:丁第3号B @4(3)(B)と入力する。

B出版者・出版地:大半は典拠ファイルに登録済。解散済や個人出版社には人手を要する。調査は『日本の出版社』(出版ニュース社)等を手がかりにして調べている。

2.旧字・新字

旧字は当用漢字の中だけで400字。新字に直して入力しているが能率の悪いのは字形の異なった旧字で「壓→圧、晝→昼、缺→欠」など、書体では毛筆の草書。古い文献になるほど難しい字に直面するのでヨミ調査には部首や画数の知識が必要である。

むすび:「全員が積極的に聞く、教える」を基本に高いレベルのデータを構築して行きたい。そして、詳細な入力基準マニュアルを座右に文化的な実務を遂行し得ることは至極幸いである。



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