No.23(1990.5.30)p 2


明治35年落成の図書館



    明治35年の早稲田大学開校にあわせて、初めて図書館が建設された。同年4月に起工し、開校式が行なわれた10月には完成している。建築位置は現在の3号館と7号館とにまたがる所で、南東に面して木造2階建、125坪の閲覧室が建てられ、これをTの字の横棒とすれば、縦棒に位置する書庫は、煉瓦造の3階建で、54坪の面積があった。書庫の各階の中央には防火壁が設けられ、書籍用の昇降器(原文ママ)も設けられており、21万冊の図書を所蔵できたという。書庫棟の閲覧室寄りには平屋の部分があり、館長室、事務室が置かれ、閲覧室棟との間は廊下で結ばれていた。

    閲覧室には450人の閲覧者を収容できた。また、室内は、足音を防ぐ意味から、全体にカーペットが敷いてあった。今日から見ても相当に立派な施設であったといってよかろう。資料によって若干の相違が見られるが、およそ28,500円の工費を要した。

    1階には出納壇が設けられ、その左右には新聞閲覧席や目録を置くコーナーもあった。1・2階の張り出した部分は特別閲覧室や標本室として使われていた。

    閲覧室の階上は、建設当初は仮りに教室として用いられていたが、明治36年11月に講堂の増築が完成し、ようやく全体を閲覧室として使うことができるようになった。早稲田大学図書館の初代館長である春城市島謙吉の「春城日誌」の同年12月の初めの項には、閲覧室拡張のため多忙との記事が見られる。

    明治40年の平面図(下図参照)では、1階の新聞閲覧席をよそへ移し、室内にあった目録も、北東側の閲覧者出入口に近い、1階のつき出た部屋に移転しており、また反対側の小室も事務室となり、従来の事務室だった書庫側の小部屋は洋書管理部とされている。図書および業務が短い間に増大してきているということがうかがえる。
(「早稲田大学図書館紀要」30号より)


『廿五年紀年早稲田大学創業録』より






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