No.20(1989.11.10)p 14


文士たちの「ホームカミングデイ」
       ―「ワセダと現代の作家たち展」開催のおしらせ―




   校歌に「集まり散じて人は変われど」という一節がある。早稲田に集い、青春のときを刻み、そして、それぞれの道へと散って行った校友は、いまや40万人近くにも達している。それら校友の各界における活躍は、もはやいうまでもないだろう。殊に文芸の分野では、稲門作家の群像を語らずして日本の近代文学史を語ることは不可能である、といえるほど目覚しいものがある。これは、文壇への登竜門である芥川賞・直木賞の受賞者に、早稲田大学出身の作家が最も多いことからも窺い知ることができるだろう。本展覧会は、これら「集まり散じ」た現役作家の方々に再び集まってもらおうという企画である。

   ところで、明年は、坪内逍遙によって東京専門学校に文学科が設けられてから100年目であり、さらに、明後年は、わが国の近代文学史上に大きな足跡を残す「早稲田文学」の創刊100年目にあたる。また、待望の新中央図書館もオープンする。したがって、本展覧会は、明年から始まる数々の記念行事のいわば第一弾としての意味もある。

   今回ご協力をお願いしたのは、現在活躍中の稲門出身者のうち、文芸の分野の方々をはじめ、評論、演劇、映画、写真、漫画、など各界で創作活動をされている方々、200余名に上る。幸いにも、本企画についての準備委員会からの呼びかけに、ほとんどの方から快諾を得ることができ、その著作、自筆資料、色紙、写真など多数の資料のご提供をいただいた。こうして、これらを一堂に集めてみると、今更ながらに「ワセダ」の間口の広さ、層の厚さを感じる。

    現在、図書館では、「稲門ライブラリー」を鋭意構築中である。これは、早稲田に学んだ人々の著作、資料を網羅的に収集し、保存を図りながら、研究者や学生の利用に供するためのものであり、将来的には、早稲田関係者に関する資料ならば、ないものはないと言われるような一大コレクションとすることを目指している。今回提供された資料も、展覧会終了後は「稲門ライブラリー」のコレクションに組み込ませていただく予定でいる。

また、展覧会に出品する資料を中心とした『図録・ワセダと現代の作家たち』も編集刊行する。

会場    丸善日本橋ギャラリー
期間     11月20日(月)〜25日(土)

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