No.3(1989.7.10)p 12

新聞にみる反響(抄)



「明治時代」をマイクロ化
……明治時代は地方出版が盛んで貴重な本も少なくないが、海外へかなり流出しているとされる。このため国内外の大学や図書館にも協力を呼びかけ、約二十年かけて集大成する計画だ。……この事業について奥島館長は「『明治』は、現在の日本に大きな影響を与えた時代。しかし、その書物は酸性化して朽ち始めているほか、いまだに、どれくらいの本が発行されたのか、どこに所蔵されてるのかなど不明な点が多い。……『明治』を探る全資料を集大成し、安く閲覧出来るような国民的遺産をつくりあげたい」といっている。
(朝日新聞63.5.28夕刊)

明治期の文献マイクロ化――酸性紙腐食での消滅防ぐ――
早稲田大学は、酸性紙(洋紙)が使われた明治期の文献約二十万点を約二十年かけてマイクロフィルム化すると発表した。このままでは紙が腐食し、貴重文献がだめになるためにマイクロ化に踏み切ったもので、明治期に絞ってのマイクロ化は初めて。……計画では@同大学が所蔵のものA全国各大学図書館にあり早稲田にないものB海外に流出した文献――の順にマイクロ化を進めていく。……奥島館長は「このままでは貴重な資料が消滅してしまう。先べんをつける意味で始めた」と話している。
(東京新聞63.5.38長官)

文化遺産を後世に伝える
……「過去のすべてのものがそこへ流れこみ、現在のあらゆるものがそこに根ざした」といわれる明治期だが、そのころの単行本、雑誌など、印刷された資料が、紙の劣化によって消滅の危機にさらされている。いわゆる「酸性紙問題」だ。明治初年から百年を優にすぎた今日、この貴重文献を崩壊から救うぎりぎりのタイムリミットがすでにきているのである。……早大図書館の奥島孝康館長は「これはナショナルプロジェクトにも比すべき大きな事業ですが、私は何がなんでも政府に取り組んでもらおう、という考えにたっていない。文化というのはかつて日本近代文学館の事業がそうであったように、意欲にみちた人たちが中心になって進めてゆくべきもので、それをサポートする形で国が出てくるものだと思う。私たちは尖兵となってこの仕事をすすめ、やりとげたい」と語っている。まさに早稲田人ここにありの感である。
(週刊読書人1988.6.20)

早大図書館 明治期資料をマイクロ化
……酸による紙質の劣化により崩壊の危機に瀕している明治期刊行物の保全と公開を目的として「マイクロフィッシュ版明治期刊行物集成」の刊行に五月から着手したことを発表するとともに、あわせてこの機会にわが国近代化の原点ともいうべき明治期の膨大な資料群をマイクロフィッシュとして網羅収録し、その全容を解明するため、全国の図書館などに文献の発掘、情報提供の協力を要請した。
(新文化63.6.2)


編集後記


明治期資料のマイクロ化事業室特集号をお届けします。この特集号は年内にもう1号発刊する予定です。今号から編集委員が交替になり、河合(第二閲覧係)、北風(企画広報係)、高橋(特別資料室)、渡邊(和漢書係)、渡部(マイクロ資料係)の5人が担当します。よろしくお願いします。




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