No.11(1987.6.10)p 14

早稲田大学蔵 資料影印叢書

第八巻刊行 室町物語集

編集 中野幸一



本館には、中世の物語の中から資料的に価値の高い写本と、稀覯の奈良絵本を収録している。



1.ひきう殿物語   横型奈良本。一冊。
「小男の草紙」の系列作品。「ひきう殿物語」と称する作品は他に伝本をみない。江戸初期写。


2.びしゃもんのほんち   横型奈良絵本。三冊。
一般に流布する「毘沙門の本地」と筋立てが異なり、承応三年刊本に近い。江戸初期写。


3.千歳王物語   横型奈良絵本。二冊。
「毘沙門の本地」の諸本のうち、最も流布した系統に属する。江戸初期写。


4.春秋優劣物語   横型奈良絵本。一冊。
本書は「四十二ものあらそい」として知られている。江戸初期写。


5.雀さうし   横本。一冊。
他に伝本をみない異類物のお伽草子。「雀の発心」「勧学院物語」などとは別の作品。江戸初期写。


6.しら露   横本。一冊。
他に伝存をきかない擬古物語。北村季吟十六歳の写。


7.から糸物語   巻子本。一巻。
お伽草子の「唐糸草子」に先行する絵巻。刊本諸本と内容をやゝ異にする。室町末期写。


8.敦盛絵巻   巻子本。二巻。
お伽草子の「小敦盛」に先行する絵巻。伝本としては、室町期に朔る絵巻が各所に伝えられているが、本巻は、概して細部の描写に優れいる。室町末期写。



次回配本は、藤平春男編集「中世歌書集」。六月一五日刊行



ひきう殿物語



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