ふみくら:早稲田大学図書館報No.10(1987.2.10) p.14

館蔵特殊コレクション摘報4(1)

會 津 文 庫



會津八一自筆の帙題簽
  1. 分 類 イ21

  2. 収蔵数 1596部 5921冊

  3. 目録等
    印刷目録:會津文庫目録(早稲田大学図書館文庫目録第3輯)昭和37年11月刊
    その他:なし

  4. 収蔵(設置)年とその経緯
    昭和33年
    早大名誉教授・美術史家會津八一博士が戦災後に集められた蔵書をその死後、遺族會津蘭子氏のご好意により館蔵することとなった。博士の愛弟子であった文学部教授安藤更生氏、長島健氏をはじめ東洋美術研究室等の協力を得て受け入れ、整理し、本館特殊文庫の一つとした。現在文学部に保管されている。

  5. 収書の特徴
    昭和20年4月の空襲により罹災、全蔵書を焼失し、その後疎開先の新潟で集めた一般書。内容は書画・金石を中心とした芸術関係が最も多く、ついで仏教・文学・歴史等にわたっている。なお、和・唐装本の帙には自筆の題簽が多くみられる。

  6. 収書者
    會津八一:号秋艸道人、また渾斎。新潟生。明治14年(1881)8月1日生、昭和31年(1956)11月16日没。その誕生日により「八一」と名づけられ、「八朔」「八朔郎」とも称した。文学博土・歌人・書家・美術史家・早大名誉教授。明治39年早稲田大学英文科卒業。有恒学舎(新潟県)、早稲田中学の英語教師を経て、後、早稲田大学文学部教授となる。はじめ英文学を講じていたが、後、東洋美術史を講じた。また早稲田大学東洋美術史学会の創立、東洋美術史研究室の開設をなし、昭和13年には文学部哲学科に芸術学専攻を設置、主任教授となった。一方、奈良にも奈良美術研究会や東洋美術研究会をつくり、「東洋美術」を創刊するなど、その実証的学風を以て東洋美術史研究に貢献した。
     また歌人・書家としても独自の風をもち、かな書きによる清澄な調べをもつ短歌は名高い。
     昭和20年疎開寸前大空襲に会い、蔵書その他一切を失い、以後新潟に隠棲。請われて「タ刊ニイガタ」の社長となり、昭和26年には新潟市名誉市民となった。
     博士はまた早大初代図書館長市島春城の縁戚に当り、下落合の住居−秋艸堂−は春城の別墅であった。
     著書に「南京新唱」「鹿鳴集」「法隆寺・法起寺・法輸寺建立年代の研究」(学位論文)等多くの歌集・学術論文があるが「會津八一全集12巻」(中央公論社刊)に収められている。なお「會津八一全歌集」(中央公論社・昭和26年刊)では第2回読売文学賞を受賞した。


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