学術論文の種類

 図書館情報検索ワークショップ「A 研究に役立つ英語論文の探し方」は、下記の「学術論文の種類」をご理解いただいている前提で進めます。事前に一読しておいていただくことを強くお勧めします。

 このページは『APA論文作成マニュアル第2版』(医学書院, 2011)を参照して作成しました。

実証研究 (empirical studies)

  • オリジナルな研究結果の報告
     直接・間接的な観察や計測、経験に基づき知識を得ていることが前提。先行研究で扱われていない新しい分析によって仮説を検証する二次分析も含まれる。

  • 一般的に、下記の形式で記述される。
1.序文 研究着想の経緯、先行研究の紹介、研究の目的
2.方法 研究の方法について
3.結果 研究を通して発見したこととその分析の報告
4.考察 結果の解釈、およびその意義について


レビュー論文 (leterature reviews)

  • 先行研究の批判的検討
     これまでの研究の統合・統計的解析(メタアナリシス)が含まれる。先行研究のまとめ・整理・評価と、問題解明に向けた研究全般の進捗状況の検討。
     「研究の統合」  =先行研究のまとめ・整理・評価
     「メタアナリシス」=先行研究の分析・統合による、知見の統合

  • 一般的に、下記の流れがとられる。
1.特定のテーマに関する問題点を明らかにすること
2.先行研究の紹介、その分野研究の進行状況の提示
3.先行研究の整理(各研究の関連性、矛盾点、相違点、不整合など)
4.問題解決に向けた次の段階の提示


理論論文 (theoretical articles)

  • 先行研究を利用してさらに完成度の高い理論の構築をめざす
     経験に基づく情報を提示することがある。

  • 一般的に、下記の流れがとられる。
1.理論の発展の跡をたどる(先行研究の整理)
現在の概念規定への批判
2.各理論の欠点や理論同士の優劣の議論
(既存の理論=先行研究の分析)既存の理論に対する批判
3.新しい理論の提示
新しい理論的課題、新しい概念規定、新しい理論枠組み
4.現在の理論的課題に対する回答  


方法論論文 (methodological articles)

  • 新たな研究方法や既存の方法の修正を提示する
     方法論的あるいはデータ分析的アプローチに焦点を当てる。実証的データはそのアプローチを説明する場合に限って提示。

  • 方法論を提示する
     その分野の研究者が、良く理解できるように、また、自分の研究にその方法を応用しうるかどうかを判断できる内容になっているべき。(十分な詳細情報が含まれているべき)



ケーススタディ (case study)

  • 事例の報告
     特定の人物や団体、場所や出来事について時間をかけて分析したもの。特定の事例を整理し、仮説を立て、事例の分析・検証を通して、仮説を一般的な法則や理論に構築する。

  • 一般的に、以下の流れをとる。
1.研究課題の決定、定義づけ(事例の整理・仮説)
2.対象の選択、データ収集やデータ分析方法の決定
3.データ収集
4.収集したデータの分析と評価
5.報告を作成(一般的な法則や理論の構築)

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